WJ-15でいつものピザ生地に石臼挽全粒粉を混ぜる
/ カテゴリ:イタリアン /
九州産小麦ミナミノカオリを石臼でまるごと挽くことにより、香りがよく、苦みの少ないパンやお菓子ができる全粒粉です。
旨味成分、ミネラル、ビタミン類、食物繊維、ポリフェノールなどの小麦がもつ栄養成分を豊富に含んだ健康志向の素材です。
メーカー | 熊本製粉 |
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分析値 | 灰分: 1.50 / 蛋白 : 12.0 |
原料 | 国産小麦(九州産) |
用途 | パン、菓子等 |
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WJ-15は、なかなか特殊な粉です。石臼挽きであるだけで十分特殊なのに、更に全粒粉ときているもんだから、ユーザーさんが感じるハードルの高さは、はかり知れません。
そもそも全粒粉とは、外皮、胚乳、胚芽、アリューロン層を まるごと挽き込んでいる粉体を指します。つまり、全部入って栄養抜群。しかし、普段は分類されて、口にすることも少ないふすまと呼ばれる部分が混じっているわけですから、きれいな小麦粉の味を感じるのは難しいことのように思われます。
そこで、石臼挽きです。通常小麦粉はロールと呼ばれる機械製粉を常としていますが、熊本製粉さんは昔ながらの石臼挽き製法に強いこだわりを持っておられ、他社メーカーさんとは一線を画しておられます(石臼挽きの詳細は臼いずみのページを参照)。石臼挽きはロールとは違い、ゆっくり時間をかけて粉を挽くため、小麦に熱がかかりにくく、小麦が持つ本来の栄養をそのままに製粉することが可能です。そのため、香りが良く甘みも強い粉に挽き上がり、ロールで挽いた全粒粉の嫌な特徴にもなり得る「苦み」を最大限抑えることが出来るのです。
それでは、この味も香りも最強の石臼挽き全粒粉WJ-15を使って、ナポリピッツァを作ってみたいと思います。
<材料(%)>
ルチア ・・・90
WJ-15 ・・・10
塩 ・・・2.2
イースト・・・1
水 ・・・60
(※イーストはドライイーストです)
今回は、ルチアをベースとし、WJ-15を10%混ぜるレシピで作りました。ボールの中の粉の画像は、WJ-15のみのものです。
普通の小麦粉より、かなり色が濃いことがわかります。
生地玉に関しても、90%がルチアであるにも関わらず、全粒粉の粒がしっかりと目視出来ます。
一次発酵ののち、24時間寝かせて、二次発酵させました。
全粒粉のせいか、ルチア100%のものと比べると、少し伸びは悪く感じられます。
それでも、石臼挽きの特徴である高い保水力のおかげで、しっかりと弾力のある生地に仕上がっています。
300℃のオーブンで焼いて、完成です。焼き上がりのコルニチョーネ(ふちの部分)が少しくすんで見えるのが、灰分の高いWJ-15が入っている証拠です。
作ってみた感想といたしましては、やはり石臼挽き全粒粉が入っている分、吸水に少し時間がかかります。しかし、水をしっかり抱き込んだ石臼挽き粉は、生地を寝かせることで熟成が進み、独特の風味と食感を引き出してくれます。
そして、通常のナポリピッツァ用粉にWJ-15を混ぜることをお勧めする一番の理由は、経時変化にあります。
本場イタリアでは、ピッツァは一人一枚を注文し、食べ切ることが普通のようです。しかし、こと日本では、ピッツェリアに数名で赴いた場合、一枚をシェアすることが多いように思われます。その場合、会話に夢中になっていたりすると、どうしても残っているピッツァに手を伸ばせなかったりして、せっかくのピッツァが冷めてしまっていることも多いのではないでしょうか。
この少し冷めた時に、WJ-15が生きてきます。石臼で通常より粗目に挽かれた粉は、混ぜられたピッツァ用粉(今回ならルチア)を押し上げ、冷めた時におきる生地の沈みを軽減させてくれます。そして、熱が逃げた生地でも、サクサクとした食感が残るため、焼き立てとは違った、また新しい風味を楽しむことが出来ます。
風味にも、食感にも、大きな変化を与えてくれるWJ-15。
吸水に時間がかかったり、多く入れすぎると全体の味のバランスが崩れたりと、使い勝手がいい粉であるとは言えませんが、うまく使いこなせることができたら、ワンランクもツーランクも上のピッツァが完成することは間違いありません。
アツアツでも冷めてもおいしいピッツァを。お客様のために、一度手に取ってみられてはいかがでしょうか。
オリジナリティ溢れる、最高の一枚を作り出すお手伝いが出来ることを楽しみにしております。
(記事:営業開発 上田)